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2015年9月21日、国連国際平和デー当日より、ゆる体操は、誰でも指導できるようになりました。
※これを「ゆる体操の全面的オープン化」と呼んでいます。

究極のローコスト・ハイリターン体操“寝ゆる黄金の3点セット”

第2話 究極のローコスト体操「寝ゆる黄金の3点セット」とは!?

(2014.12.06 公開)

メソッド〈1〉…「腰モゾ」
「さあ、寝るか」で始める究極のローコスト体操

 実は、まずみなさんに、この条件を満たしている3つの体操をやってもらおうと思っています。「えっ、3つも? それって多くないですか」と思われるでしょうか?

 いえいえ、おやりになってみると馬鹿馬鹿しいほど簡単で、「3つぐらいやらしてくれよ」という気になります。言葉で表現しても、「えっ? そんな簡単なものなの?」とこちらが怒られそうな体操なのです。

 まず、仰向けに寝ています。あなたが今日やるべきことは全部終わり、「さあ、寝るか」と、すでに布団なりベッドに寝ています。

 このポジションは、ほとんどゼロコストです。そこで、両足のひざを曲げてください。

 「ああ、曲げりゃいいのね。俺なんか、疲れたときは自然に曲がるよ」

 はい、その通りです。疲れたときは、だいたい腰に疲れがたまっています。腰に疲れがたまると股関節まわり、特にその前側が硬くなり、足を伸ばすと、腰がどうしても弓ぞり気味になります。なぜかというと、人間の身体はそもそも四足動物だったために、股関節前側の筋肉が短くできているからです。こういう視点で身体機能を見るのが、私が推奨する運動進化論です。

 だから、疲れると足を伸ばすのが意外に辛かったりするのですが、もし足を伸ばして辛さを感じる方は、相当、股関節から腰のあたりに疲れのたまった状態と思って間違いありません。早く、この体操で治すことをお勤めします。

 話をもどして、ひざを曲げます。その状態で何を感じるでしょうか? 腰の裏が布団やベッドにズブッともぐった感じ、自分自身のお腹や腰の重さで腰がちょっと押し付けられた感じがありませんか?

 その感じがあったら、その腰を本当に軽く、布団やベッドにちょっと押し付けるような感じで、左右にモゾモゾとした感じで動かしてみてください。本当に軽く、左右にモゾモゾ、モゾモゾ……とです。

 乾燥した雑巾が固まり、硬く折れていることがあります。その雑巾を水に濡らし、やわらかくほぐすときの感じを覚えていますか? あんな感じでもいいでしょう。ちょっと固まっている腰を、雑巾を水に濡らしてほぐしていくときの感じで、モゾモゾ、モゾモゾと動かしてみてください。

 あるいは、金魚鉢のなかを優雅に泳ぐ金魚を連想してください。金魚の尾びれは左右にゆっくりと揺れています。あの感じです。あの感じで、腰をモゾモゾ、モゾモゾと左右に動かすのです。

 そのとき、聞こえる必要はありませんが、「モゾモゾ、モゾモゾ……」とかすかにつぶやくと、より効果があります。

 言葉には、名詞、形容詞などいろいろあります。なかに、その言葉を使うことで、身体をどんなふうに使えばいいか、その感じがパッとつかめる種類の言葉があります。そうした種類の言葉を擬態語といいますが、擬態語をうまく使うことで、身体を動かす感じがつかみやすくなります。だから、擬態語を使ったほうがはるかに効果が上がります。

 ゴルフのインストラクターとか野球のコーチは、「バシッとそこで打つ」とか、「そこでスキッと立つ」とか、「ドーンとした腰の安定感を持って」とか、「クルンときれいに回す」とかいった表現をよく使います。これも擬態語を使うことで、身体を動かす感じをつかみやすくするためです。

 私は科学者ですから、心理学や生化学を使いながら、擬態語を使うとどのくらい効果があるかを測定しています。その測定から、擬態語を使うと、間違いなく3倍以上の効果のあることが分かっています。同じ時間を使って同じことをやるなら、3倍以上の効果があるほうがいいに決まっています。それに擬態語をつぶやくことはたいしたコストではありませんから、「モゾモゾ、モゾモゾ……」とつぶやいてください。

 体操には、何か名前が欲しいものです。腰モゾ……。ベタな名前ですが、分かりやすい。「腰モゾ」からは、腰をモゾモゾ動かすイメージしか湧いてきません。

 しかも、名前がベタ、名が100%体を表すことも大事な要素です。名前がむずかしかったり、体操のイメージをつかみにくい名前は、やはりコストがかかってしまうからです。「えっと、何という名前の体操だったかな?」とか、「この名前の体操で何をするんだっけ?」という状態は、やはり脳が消耗します。ストレスも生まれます。

 「そこまで厳密に考えるのか?」と聞かれたら、「当然!」と答えます。何しろ、ここで追求している体操は、究極のローコスト体操なのですから。

 次は、腰モゾをどれくらいやればいいのかです。

 時間に決まりはありません。何秒でも、何分でもかまいません。30秒でも、1分でも、ときには15秒でもかまいません。

メソッド〈2〉…「すねプラ」
プラプラとついやってしまう気持ちよさ

 腰モゾの次は、名前を先にいってしまいます。「すねプラ」といいます。

 「ずいぶん安易な名前じゃないか」といわれそうですが、これも「ベタな名前がいい」という発想からのネーミングです。

 第一の腰モゾで、いまあなたのひざは曲がっています。せっかくひざを曲げているのですから、ひざを曲げたポジションをそのまま使いたい。そのほうがコストが低いことはお分かりでしょう。

 そのまま、ちょっとだけコストがかかりますが、左のひざに右脚をかけて組んでみてください。

 会社でも、休みたいとき、椅子に座りながらこの姿勢をし、椅子を左右に回転させる人がいます。電車の中でも、椅子に座って足を組んでいる人がよくいます。会社では「態度が悪い!」といわれ、電車のなかでは“マナー違反”“人ヘの迷惑”と冷たい視線を浴びますが、ここは寝室です。「態度が悪い!」とか、「マナー違反だ!」と、あなたをとがめる人は誰もいません。

 普段、何気なく取っている姿勢ですからむずかしくありません。

 左のひざに、右脚をクロスするようにかけていただいたでしょうか? 逆でもかまいませんが、できるだけ深くかけるようにしてください。そのとき、右脚のひざから少し先のふくらはぎの外側の部分が、ひざの少し上のももの外側にかかるようにしてください。

 その状態で、振り子が振れるような感じで、右足をプラプラプラプラ……と振り動かします。

 「それだけですか?」

 はい、それだけです。すねプラはこれで終わりです。

 このとき、できるだけ“ダラ〜ッとした気持ち”でやってください。寝ているわけですから十分にダラ〜ッとしていると思いますが、もっとダラ〜ッと、思いっ切りダラ〜ッとやってください。時々、「ダラ〜ッと、ダラ〜ッと」とつぶやきを交ぜてもいいでしょう。

 「何分くらいやればいいのか?」など、野暮なことは聞かないでください。回数も、ダラ〜ッと適当にやってください。ダラ〜ッと適当に、本当にだらしない気持ちでやればやるほどいいのがこの体操の醍醐昧ですし、そのほうが低コストです。

 「この体操は10回で1セットです。必ず5セットやってください」

 こういわれたら、あなたは1回、2回……と数えます。1セット終わったから、次は第2セットの1回目、2回目……と数えなければなりません。脳にそんな肝算をさせることがコストになることはもうご承知でしょう。

 では、すねプラをやってみましょう。

 「この引っかかっている付け根のあたりが、何かこう押された状態で、グズグズ動かされて、振り子みたいに動かされている支点になっているから、そこが揉みほぐされて、何だか痛いようなくすぐったいような、気持ちいいな……」

 はい、それがいい感じです。その感じを味わいながらやってください。

 「いやあ、何となく疲れが取れる感じで気持ちいい……。う〜ん、気持ちいいから、ついやってしまうなあ……」

 “ついやってしまう”のは大いに結構です。“ついやってしまう”のは、“気持ちがいい”からで、気持ちがいいというリターンが大きくなると、コストパフォーマンスが上がります。どうですか、こんな感じがしませんか?

 「ちょっとあれだよな、疲れたときに自然にそこに手がいっちやうとか、肩が凝ったときに、自然に『ウ〜ウッ』とかいって肩をすくめるような、そんな感じに似ているな」

 そうです、このすねプラをはじめ、ここで紹介している「寝ゆる黄金の3点セット」はそんな体操なのです。

 いまは、左ひざ(あるいは右ひざ)の上に右脚(あるいは左脚)がかかっていました。気持ちいいから、もう片方の脚もやりたいはずです。

 では、脚をかえてください。今度は、左脚(あるいは右脚)をプラプラ、プラプラ……と、同じように思いっ切りダラ〜ッとした気持ちで、ダラ〜ッとやってください。「ダラ〜ッと、ダラ〜ッと」とつぶやきを交ぜても、もちろんいいです。

 どうでしょう、すねプラという名前も悪くないでしょう。これ以上、この体操を適切に表現する言葉が他にないことも、よくお分かりになったと思います。

メソッド〈3〉…「膝コゾ」
コツはダラ〜ッとした温泉気分

 「たしか、体操が3つあるといいましたよね。こんなに簡単で気持ちいいなら、もうひとつも教えてよ!」

 ご要望に応えてお教えいたしましょう。

 いま、あなたのどちらかのひざが立っています。逆側の脚が、そのひざにかかっています。そのままの状態が利用できる体操であれば、コスト理論にかなった体操になります。

 そうしたら、そのままひざの尖ったところに、ふくらはぎを乗せてみましょう。ちょっとひざの位置をずらしながら、ひざ小僧の上にふくらはぎのど真ん中がくるように微調整してください。

 そこで、例の思いっ切りダラ〜ッとした気持ちで、思いっ切りダラ〜ッとしてください。ついでに、「ダラ〜ッと」とつぶやいてみてください。

 その何とも表現できない。“ダラ〜ッと感”のなかで、ふくらはぎに、ひざがちょっとめり込む感じがするはずです。そのめり込んだ状態のまま、ふくらはぎを前後に3〜10センチくらいの長さで動かします。動かし方は、コゾコゾ、コゾコゾ……です。

 だから、この体操は「膝コゾ」といいます。この体操も、思いっ切りダラ〜ッとした気持ち、だらしのない気持ちでやってください。温泉につかったとき、「ア〜ッ」とか「ウ〜ッ」と感じるあのダラ〜ッとした気持ちなら最高です。

 どうです、ふくらはぎはどんな感じがしますか?

 「おお、何か痛いような、気持ちいいような、痛気持ちいいような……。マッサージさんに、ちょっとそこのところ疲れがたまってるんだけど、そこやってくれないみたいなとき、ちょっとちょっとマッサージさん、ちょっとそれ痛い、ちょっと痛い、もうちょっとゆるめて……。ああ、そのくらい、ああ、それいいなあ……」

 そんな感じがしませんか? そうしたら、その痛気持ちいいところが他にもあるかどうか、ちょっと探してください。ここか、あそこかと探し回ってみましょう。

 「ああ、ふくらはぎのちょっと下、ここも痛気持ちいい。コゾコゾ、コゾコゾ……。ああ、気持ちいい……。気持ちいい……。しばらくやっていいですか?」

 もちろん、やってください。やりたいだけ、やってください。そこが気持ちよくなったら、他はやりたくないですか? 他も探してみたいでしょう?

 では、コゾコゾやって痛持ちいいところを探してください。ふくらはぎは太くて広いですから、コゾコゾやって痛気持ちいいところを次々に探してください。ふくらはぎの広さからすると、5カ所や6ヵ所はすぐに見つかるでしょう。

 「いやあ、何だかふくらはぎが温かくなって気持ちよくなってきた……。身体の深いところから、ポカポカ温かくていい気持ちになってきた……」

 ここまで気持ちよくなったのですから、もう片方はやらないで寝ましょうか。

 はい? もう片方もやりたい? では、同じようにやってください。コツは同じです。何といってもだらしない気持ちで、温泉に行ってダラ〜ッとなるあの気分です。

 さあ、いかがでしたか? 場合によっては、もうこのあたりで寝てしまうことも少なくありません。ひざでふくらはぎを操みほぐすこの体操は、睡眠導入法としても極めてすぐれた体操です。「やっている途中で記憶がなくなり、気がついたら朝だった」という方も多く、翌朝、目覚めたときに、経験者は同じ感想を漏らします。

 「ああ、よく寝た。おや? いつもと違うぞ。何か、身体が軽い!」

 まず、久しぶりに熟睡できた実感があります。そして、しばらく忘れていた感覚……身体が軽いという感覚が湧いているのです。

 人には、目が覚めて、休養をたっぷり取った直後のはずなのに、身体がこわばっている……。また人によっては、何か冷えてしまっている感じまでする……。そして、身体が動きづらくて、このまま起きるのが辛い……という方が多いものです。

 しかし、この体操をやった翌朝は、状態が逆になっています。身体が楽だ、動きやすい、身体が温まっているといった状態が訪れます。

 仕事に飛び出す時間がギリギリの人は、そのままポンと起きて支度をしようとします。そのとき、前の日とは違った感覚が味わえます。……いつもだと、起きた瞬間、壁でもどこでもいいからちょっと手をつきたい感じがあったのに、その感じがない。……歩き始めても、ひざとかが怪しげで、股関節回りがよく動かなかった。一世代前の出来損ないのロボットのようなぎこちない動きだったのが、「あれっ!」というくらい気持ちよく足が進んでいく……。こんな感じが味わえます。

 起床から出かける準備までわずかでも時間の余裕がある人は、気持ちのよさから昨日の夜の記憶をたどります。普段と違うことといえば、昨夜の「寝ゆる黄金の3点セット」しか思い当たりません。そこで、「昨日の夜の体操がよかったのかな?」と、3つの体操をここでもやり始めます。

 人によっては、2番目のすねプラをやったり、「3番目が気に入った」と膝コゾをやったりします。膝コゾから逆に2番目のすねプラ、1番目の腰モゾをやる人もいますし、律儀に1番目の体操から順を追う人もいます。

 とにかく気持ちいいからやる、気持ちいいからやりたくなってしまうのが、この「寝ゆる黄金の3点セット」の特長というわけです。

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