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2015年9月21日、国連国際平和デー当日より、ゆる体操は、誰でも指導できるようになりました。
※これを「ゆる体操の全面的オープン化」と呼んでいます。

究極のローコスト・ハイリターン体操“寝ゆる黄金の3点セット”

第4話 行動力の足を引っ張るマイナス要因を激減させる「すねプラ」

(2014.12.20 公開)

「すねプラ」の大きなリターン①
腓骨の2大役割を理解しよう

 さらに説明をしていきますが、腰モゾを受けて、すねプラをやります。すねプラの大きなメリットの話の前に、ちょっとやっていただきたいことがあります。

 ひざの真横のちょっと下気味のところを触ってみてください。グリグリがありませんか?

 そのグリグリは腓骨の上端で、腓骨が脛骨(すねの骨)につながっている場所です。そこからずーっと手を下げていくと、外くるぶしがあります。これも腓骨がつながっている場所です。

 グリグリや外くるぶしのような接合部は、丈夫にする必要があります。だから、大きくなって、いまやっていただいたように触って確認できるわけです。腓骨とはつまり、ひざ横のちょっと下にあるグリグリから、外くるぶしまで一直線状に伸びている骨です。

 では、腓骨は何をやっている骨なのでしょうか?

 実は、体重を支える骨は、脛骨がその主な役割を担っています。ひざのちょっと下あたりで触ってみてください。触っていただくと分かると思いますが、脛骨の太さが分かるでしょう。手触りで分かるように、脛骨は腓骨のだいたい4〜5倍ぐらいの太さがあります。

 しかも、その上にある大腿骨(太ももの骨)と、ほとんど直線上に直結しています。それだけの太さがあり、大腿骨と直線上に直結しているわけですから、この骨が体重を支える主役であることはお分かりになるでしょう。

 では、腓骨はどんな役割をしているのでしょうか?

 脛骨の補助以外に、大きく分けて2つの役割があります。ひとつは、衝撃を吸収するショック・アブソーバーです。

 背骨をはじめ、人間の身体の全関節を一直線状の丸太かなにかにしっかりと結わえつけます。すると、人間の身体はカチンカチンのひとつの棒状になります。その人間を持ち上げ、コンクリートの上に垂直にポンと落とします。

 つまり、足裏からゴーンとコンクリートの上に落とすわけです。接地の衝撃は骨を伝わり、ダイレクトに脳に伝わります。

 こんな実験は非人道的ですから、やった人はいません。私もやっていません。だから、これからの話は科学者たちの推測的な意見に過ぎないわけですが、「3センチの高さから落としても、衝撃で死ぬ」とか、「10センチの高さであれば間違いなく死ぬ」というような意見が多数です。

 この話をしたのは、人間の身体が接地するとき、人間にはいかに大きな衝撃が起きるかを知っていただきたかったからです。そんな極端なケースでなく、ただ単に歩いているときでも、接地の衝撃は常に起きています。

 この衝撃を吸収するために、ウォーキングが好きな人はウォーキング用のシューズを買います。その靴の履き心地を革靴に比べると、「ああ、ずいぶん歩きやすくてクッションがある」と感じられると思います。

 実は、身体のなかにもその働きをしている骨があります。それが腓骨なのです。つまり、体重は脛骨で支えているのですが、接地していくときに、腓骨で力を分散するように、足を使っていくわけです。

 バイオメカニクスで、人間の体重が支えられて抜けていくラインを正確に測定すると、こうなります。まずかかとの真後ろから接地し、すぐかかとの外側よりに体重が移りはじめ、そして足の真ん中より少し外側寄りをカーブを描くように通って、人差し指辺りから体重が抜け通っていきます。

 このラインを通るために、ひざから伝わってくる体重をどの骨が支えているかというと、腓骨が脛骨を補う形で使われています。このメカニズムで、超合理的なソフトランディング、軟着陸する状態がつくられるわけです。

 これが腓骨のひとつの役割で、もうひとつは方向の変化です。

 人間は、巧みに二本足であっちを向いたりこっちを向いたりします。会社でも家でもちょっと立ち歩くとデスクやテーブル、椅子などがありますし、人とぶつからないように方向転換をしています。みなさんは、ごく普通の日常生活の中であっても数えてみるとビックリするほどの方向転換をしていることになりますが、そういうときに腓骨が使われます。いわんや、どのスポーツでも最高にいい動きをする選手は、腓骨の使い方の達人です。

 実は、この腓骨は小さい時からの体のクセ、運動不足、ストレス、それからとくに老化によって、固まってくる骨なのです。では、骨が固まってくるというのはどういうことなのかといいますと、歩くときに外股になる。それからO脚になります。靴底の減り方でいいますと、かかとの真後ろから斜め外側が減るのではなく、かかとの外側が減ってくる歩き方です。

 正しいきれいな歩き方でも、かかとの真後ろの部分から、ちょっと外側にかけては減ってきます。だから、本当にかかとの真後ろだけが減る歩き方が正しい歩きではありません。

 明日の朝で結構ですから、みなさん、ご自分の靴をご覧になってください。

 靴底が真後ろよりも斜め横から減る、斜め後ろから減る、横様にかかとが減っているようであれば、かなり腓骨が固まっています。もし、かかと部分の後ろから3分の1のところまで減りが入っていたら、あなたは腓骨で体重を支えている証拠です。

「すねプラ」の大きなリターン②
あなたは、誤った体重支持をしていませんか?

 前にいいましたように、小さい時からの体のクセ、運動不足やストレス、それに老化で腓骨が固まってくると、腓骨は体重を支える骨になってしまいます。腓骨はいつも柔らかく可動する骨として使われなければいけないのに、体重を支える骨として使われ始めてしまうわけです。

 「それだけのことでしょ。たいしたことないじゃないですか」

 あなたがそう思うとすると、大問題です。それに関連して、さまざまなことが起きてくるからです。

 まず、ひとつとして、衝撃が常時脳に加わるような身体になってきます。かかとから足底の複雑な骨、扇状に開いたその複雑な骨をうまく使い、腓骨がそれをうまく束ねながら衝撃を上手に吸収するような歩き方ができなくなるからです。

 そうなると、脳に常時刺激が余計に加わるほか、途中のひざにも、腰にも、刺激がダイレクトに伝わるようになります。当然、ひざ痛や腰痛を起こす原因にもなります。

 脳というのは人間の重要な器官ですから、強い自己防衛本能があります。脳にそうした衝撃が起きやすい歩き方に変わると、衝撃から脳を守るために、脳に変化が起きます。

 「ほう、脳にどんな変化が起きるの? 刺激が加わるから脳が活性化するとかかな?」

 いいえ、とんでもありません。脳に衝撃が起きやすい歩き方に変わると、脳は、それでも衝撃が起きないような歩き方に変えさせようとするのです。それが、いわゆる“年寄りくさい歩き方”です。

 加齢が運むと、若い頃のように闊歩するとか、颯爽とした歩き方を自然にしなくなります。老化で腓骨が固まっているため、歩き方は脳に衝撃を起こすような歩き方になっています。その状態のとき、若いときのような歩き方をすれば、脳への衝撃が大きすぎます。だから、脳は足をあまり上げず、足をずるような“年寄りくさい歩き方”を指令するのです。

 さらに怖いことに、腓骨は、大腿の外側を通る長い腸脛靭帯(ちょうけいじんたい)やさらに上の方、腰に近いあたりの大腿筋膜張筋(だいたいきんまくちょうきん)と、腰の横にある中臀筋という筋肉と協力関係を結びます。

 先ほど、「運動不足、ストレス、そして老化が腓骨を固める」といいましたが、その要素からすると、25歳以上の人々はみなそうした状態に入っていると考えるほうが自然です。つまり、腓骨で体重を支える、誤まったクセが新たに生まれていると考えた方がよいということです。

 ここからがまた、人間の身体の複雑なところです。それが起きてくるような状態は、腸脛靭帯から大腿筋膜張筋、そして中臀筋と、腰まで伝わる身体の外側のラインで、体重を支える方向に変わってきてしまうのです。下半身全部の体重の支え方が、完全に間違ったものになってしまうわけです。

 それがどんどん進むと、足が自然に一直線のライン上に置けなくなってきます。まず外股になり、高齢の女性では、ひざが外側に極端に湾曲するようになります。それが高齢の女性にとくに多発するひざ関節症です。

「すねプラ」の大きなリターン③
行動力を阻害するマイナス要因を激減できる

 で、ここからが大事な話で、いままでの話の流れからこんなことをお考えになったことはないでしょうか?

 「骨が変形するいまの話は、整形外科的な問題だけでしょ。痛さを我慢すれば、人間の能力とは関係ないではないですか? 痛いにしても、整形外科で治療を受ければいいわけだし……」

 おっしゃる通り、医学的に、骨の変形は整形外科的な問題と考えられがちです。しかし、人間の行動とか、精神作用の問題と関連づけてリサーチした私たちの研究から、「こうした身体の使い方をしていると、その分だけ、人間の行動力が鈍ってくる」ことが明らかになっているのです。

 骨の変形などから激痛が起これば、途端に歩けなくなります。だから、「ああ、行動力が下がったな」と分かりますが、実は人間には、痛みを起こさない前段階がかなり長く存在するのです。本当の正しい機能を持った健康状態から、痛みを起こして病気や障害と自覚する間に、かなりの距離があると分かってきたのです。

 中臀筋まで含めた下半身全部の体重の支え方が間違ってしまった状態は、その人が自覚していないけれども、行動力を非常に阻害し、邪魔する原因になります。加齢とともに、その状態はどんどん進行します。

 しかし企業などを例に挙げると、自分での自己評価とか、会社組織でのいわゆる人事考課などでは、こうした問題は気づかれていません。なぜかといいますと、ビジネスパーソンとしての経験を重ねることで、よりたくさんの知識、さらに自分が活用できる社内外のコネクションなど、加齢とともに高まってくる能力部分があるからです。

 そうした能力を“結晶性知性”と呼びますが、そうした能力が、身体の衰えからくるマイナスをカバーしています。一見すると能力が上がっているように見えますから、そんなマイナスの原因があり、実はそこが足を引っ張っているなどとは誰も考えません。

 しかし、私どもが行動力の測定や観察評価を繰り返してきた結果、そうしたことが現実に起きていることが突き止められました。このことは学生や主婦などビジネスパーソン以外の方々にもあてはまります。どんな人たちにとっても、これが大変なマイナスになることはお分かりになるはずです。

 そこで、そうしたマイナスをひとつひとつ改善してあげると、どんなことが起きるでしょうか?

 まず、マイナスになっていた部分がゼロになります。さらにどんどん身体を高機能に使えるようになると、プラスに転じます。伸び悩んでいた分野でも、実は伸びる能力が備わっていたことが分かるようになってきます。

 ここで、すねプラの78点のリターンです。すねプラは、実は、行動力の足を引っ張っているマイナス要因を大いに減らすリターンがあるのです。

 だらしなく、何気なくやる体操ですが、他のかなりのコストがかかるいろいろな体操と比較しても、それに十分匹敵する効果が得られる体操なのです。だから、どんな人にとっても、これはもう“超お勤めの体操”になります。

 あと付録として、歩く姿が颯爽として格好よくなります。ウォーキングブームでウォーキング教室も流行っていますが、歩き方を格好よく颯爽とする目的であれば、ウォーキング教室に通うより先にやるべきはこの体操を中心に寝ゆる黄金の3点セットを好きになることです。コストとリターンという効率から考えても、すねプラをやったほうがいいとお勤めできます。ウォーキング教室に通うのは、その後です。

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