YURU EXERCISEロゴ
YURU EXERCISE
からだには希望がある

2015年9月21日、国連国際平和デー当日より、ゆる体操は、誰でも指導できるようになりました。
※これを「ゆる体操の全面的オープン化」と呼んでいます。

究極のローコスト・ハイリターン体操“寝ゆる黄金の3点セット”

第6話 まだまだある「膝コゾ」の素晴らしいメリット

(2015.01.10 公開)

「膝コゾ」の大きなリターン③
簡単な動きで、背骨と全内臓が調整される

 大腰筋が使われ出すと、先に挙げたようないろいろなメリットがあります。ここであなたにとって、「ああ、それはすごくいいな!」というリターンをご紹介しましょう。

 大腰筋(正確にいうと、大腰筋と小腰筋を合わせた大小腰筋)は、背骨の下のほうで、胸椎の12番から腰椎の5番までの6つの骨につながっています。背骨の左右から大腰筋は出発し、その先は大腿骨の付け根近くにある小転子という部分につながっている、すなわち大腰筋は背骨と大腿骨を直結しているただ一つの筋肉と覚えていてください。

 さて、コゾコゾとふくらはぎの痛気持ちいいところを探しながらやっていきます。本人はふくらはぎのマッサージ体操のようなつもりでやっているわけですが、実は大腰筋が活躍しているのです。

 膝コゾをやるとき、ダラ〜ッとしています。ダラ〜ッとすればするほど大腿直筋から大腰筋に大腿を駆動する筋肉がシフトしていき、さらに背骨を取り囲んでいる体幹部の筋肉がゆるみます。

 ここがキーポイントです。ゆるんだ状態では、背骨は鎖と同じです。伸び縮みする鎖です。それを片側の大腰筋、左のコゾコゾ体操をやっているのであれば左側の大腰筋が、一回コゾッとやるたびに、ギュウッと背骨を引っ張ります。

 ギュウッと片側の背骨を引っ張ることは、反対側の背骨がゆるめられることを意味します。つまり、背骨をギュウッと引っ張って、そしてプッと離す。コゾコゾをやっていると、ギュウッ、プッ、ギュウッ、プッ、ギュウッ、プッの繰り返しになるわけです。

 「ああ、気持ちいいな〜、コゾコゾ、コゾコゾ……」とやっていると、一ヵ所あたり10回ぐらいはすぐやってしまいます。6ヵ所ぐらい探してやると、大腰筋で背骨を引っ張り、引っ張っては離す、離しては引っ張る運動を、50〜60回ぐらいはすぐにやってしまう計算になります。

 「そうすると何か起こるの? 早く教えて!」

 あなたには、いくつもの素晴らしいことが起こります。

 まず背骨がゆるんでいますから、これをギュウッと片側からだけ、ちょっと斜め横にほぼ真下の方向に引っ張っていることになります。これがどこまで伝わっているかといいますと、何と背骨の一番上にまで伝わっています。身体がダラ〜ッとすればするほど、筋肉は邪魔しなくなりますから、頸椎の一番上、脳幹のところまで伝わるわけです。

 そのままズーッと引っ張ってパッと離す、ズーッと引っ張ってパッと離していると、全部の背骨がずらし引っ張られてはもどす、もどしてはずらし引っ張られる作業が繰り返されます。その作業の繰り返しで、すべての背骨が調整されることになります。

 いろいろな生活習慣のなかで、まずほとんどの方の背骨はアンギュレーションが狂って、そのまま固まっています。これが姿勢の崩れとして現れるのですが、背骨には脊髄神経が通っていて、さまざまな内臓を支配しています。

 背骨の異常で脊髄神経が圧迫されると、いきなり激痛を起こしたり、病院に担ぎ込まれたりといった状態になるわけではありませんが、その原因として、内臓のさまざまな不調が発生しています。整体とかヨガ、それに鍼灸で背骨のズレを調整するのは、すべてここを考えてのことなのです。

 膝コゾをやると、先の全部の背骨がずらし引っ張られてはもどす、もどしてはずらし引っ張られるの繰り返しで、背骨の調整が最高度の安全性と効果を持っておこなわれることになります。

 しかも、両側から50〜60回もやられるわけです。もう背骨の何番目はこう、何番目はこうと乱れている状態がどんどん全自動で調整されていきます。つながっている筋肉にも、非常にいいストレッチをかけてはまたゆるめてあげる、ゆるめてあげてはいいストレッチをかける作業が繰り返されていますから、すべてが知らないうちに効率的に調整されます。そこから、全内臓の状態も調整されてきます。

 私たちにとって、すべての内臓が調整されるこの効果は極めて重要です。

 ごく日常的に仕事をしたり、家事を営んでいるみなさんは、アスリートのように、走ることを仕事にしているわけではありません。しかし、仕事や家事をこなしていて、身体で一番感じるのは内臓の疲れのはずです。内臓が元気でなければ、何事にも頑張れません。このだらしのない体操を高いパフォーマンスで行うことで、すべての内臓に対し脊髄系からの調整が可能になるのです。あなたにとって、これは非常に大きなメリットです。

「膝コゾ」の大きなリターン④
やる気と責任感が湧き上がってくる

 私たちにもたらされる次のリターンは、もっと奥深いものです。

 先に、「大腹筋でギュウッと背骨を引っ張って離すと頸椎の一番上にまで伝わる」と説明しました。

 頸椎の上部は脳幹の延髄から中脳の付近まで重なり合っているような状態です。頸椎のすぐ上の後ろには小脳があり、中脳のすぐ先には間脳・視床下部や大脳基底核があります。そして、それに覆いかぶさるように、大脳が乗っています。

 この大脳の下にある部分(脳幹、間脳、視床下部など)は“生命脳”と呼ばれる部分で、生命を直接扱っている脳であり、さらに大脳基底核はセンターをはじめとした身体意識の形成に重要な役割を担っています。膝コゾをやると、この部分に非常にいい揺動刺激が伝わります。

 ここで、ひとつの話を思い出してください。

 人間の関節を一本の棒に結び付けて一直線状にし、コンクリートの上に足裏から落とすとどうなるか、という話をしました。そこで、たった数センチで人が死ぬ、つまりその衝撃で脳が壊れる可能性があるという科学者の意見を紹介しましたが、膝コゾをやると、ちょうどまったく逆に適切な刺激が加わるのです。

 背骨は、仙骨を1個と数えると、約26個の骨でできています。そして、それがほぼすべて、クッション材である椎間板をはさんだ鎖構造になっています。こうした構造になった理由はいくつもありますが、大きなひとつの理由は、人間が脊椎動物だということです。

 最初、脊椎動物では、脳があっても大脳はほとんどない状態でした。脳幹が大半を占め、脳といえば生命脳だったわけです。

 脳幹が最もよく働くためには、脳幹が適切な運動刺激を受ける必要があります。その運動刺激というのが、魚類の“背骨だけを使った運動”です。したがって、背骨だけを使った運動は、脳幹をより健康な状態に保つために、魚類の時代につくり上げられた必要不可欠な運動といえるわけです。

 寝っ転がって膝コゾをやると背骨が運動を起こし、その刺激が生命脳に伝わります。そのことで、脳幹から間脳、視床下部といった生命脳、そして大脳基底核や小脳の活動が、確実に高まってきます。

 ご存じだと思いますが、運動不足とストレス、それから暴飲暴食、食べ物のアンバランスなどで一番被害をこうむっている脳の部分は、実は生命脳です。

 現代人の大きな特徴のひとつが、この生命脳の衰えや乱れにあります。その衰えと乱れが自律神経のバランスの乱れになったり、うつ病の背景になったりしています。

 膝コゾは、実はこの生命脳を考慮した体操なのです。だから、膝コゾは先ほどの2つの体操のあとにやったほうが効果が上がりますし、ダラ〜ッと、「ああ、気持ちいいな〜」といった感じに浸り切った状態になればなるほど、脳幹を通した生命脳全体の改善効果が確実に高まってくることになるのです。

 いま「生命脳の衰えはうつ病の背景になる」といいましたが、溌刺とした精神状態、やる気のある闊達な状態も、この生命脳に支えられています。

 健全な脳の状態とは、自律神経がバランスを取り、不必要なときには副交感神経優位に働き、必要なときだけ、本当に必要な量ギリギリで交感神経が働く。交感神経が働く必要がなくなれば、すぐに副交感神経優位の状態が取れることで脳のバランス、脳疲労が取れる。これが健全な脳の状態です。

 しかし、現代の、とくに日本など先進国といわれる社会は、継続的なストレスが多くなっています。とくにビジネスパーソンは、つねに時間にせっつかれながら、前向きに働かなければならないようになっています。こうなると、交感神経がいつも働いている状態になります。

 そんな状態で家に帰って「さあ、寝よう」と思っても、すぐには副交感神経優位になるはずがありませんし、寝ていても交感神経優位の状態が続きます。脳の状態は、ちょうどエンジンが暖気運転を続けているような状態です。

 それが継続的な脳疲労を生み、脳が過労状態になります。それが高じると、うつ状態になります。だから、うつ状態と交感神経、そして脳疲労というのは非常に深い関係があるわけです。うつ状態でないにしても、気力の衰えは同じ考え方で解くことができます。

 まず、体操自体から新たなストレスが生まれないというセーフガードを確保しておく。その上で、非常に効果的な生命脳の改善をおこなってあげる。実はこのことは、ビジネスパーソンだけでなく、私たち人類すべての人々にとって非常に重要なことです。

 膝コゾという極めてローコストな体操をやってみると、行動力の基本であり、中心でもあるやる気が生まれてきます。仕事や日常生活を遂行していく上で必要な責任感も、自分自身のなかから湧き起こってくるようになります。

 また、「頭がスッキリしてきた」「頭でしっかりものが考えられる気になってきた」とか、「頭がバランスを取って、いろいろなことが情報処理できるようになった」「いろいろな情報が同時に入ってきても、プライオリティ(優先順位)をつけながらうまく整理できるようになった」「夫婦や親子関係がうまくいくようになった」「以前は面倒に感じていた炊事、洗濯、掃除が全然苦にならなくなった」といったようなうれしい状態も生まれてきます。

 私たちにとって、こうした脳の状態こそ、ビジネスや日常生活に欠かせない脳の状態ではないでしょうか。また、そうした脳を育むことは、健全なビジネス・ライフと家庭生活を構築する絶対の条件だろうと思います。

最新情報